どうやってアジャイルを組織で推進するか
TL;DR
組織内の知識を深める
成功事例を小さく作り、仲間を増やす
トップダウンがあってもいいけど依存はしない
手法ではなく、課題から始める
アジャイルを推進する状況を考えてみる
大体この辺ですかね、推進する人の抱える背景は。
1.の方の落とし穴は、現場 VS 私&アジャイル になってしまいがちなことです。
その勝負に負けると、組織はあなたの愛するアジャイルから遠ざかります。 (現場と戦う時点であなたが勝っても彼らは遠ざかります)
2.の方の落とし穴は、何をやるべきかが判らず、イマイチ効果の低い導入となってしまうことです。
なんかアジャイルって上手くいった感じがしないんだよね、と言う実感が広がりやすいです。
3.の方の落とし穴は、何故やるのかを特定できず、場合によっては直近の成果に走ってしまい、結果・効果が得られないことです。
ドラスティックに進めると、組織のパフォーマンスがエラいことになります。(もちろんダメな方向に)
大抵どれも辛い結末になるので、避けやすい(今までのところ)やり方を考えています。
とりあえず現時点で、大事なのは冒頭に書いた4点かなと。
1. 組織内の知識を深める
アジャイルについて何も知らない人がいる組織で変えていくのは非常に大変です。
最低限レベルの情報は最初の教育で必須だと思います。
この情報化社会なので、ある程度みんな「アジャイル」と言う言葉は知っています。
『ドキュメント作らないんでしょ?』
マジでそれくらいのことを言われる環境で進める羽目になります。最低限大事。プロトコルがあってないのに突っ込んだカイゼンの会話はできないっす。
で、初期の教育フェーズで大事なのは、メンバーとの双方向の会話を可能な限りリッチにすること。
机上のお勉強だけならなんとなくわかった気がするしやれるほどわかった気はしないので。
話を聞いて、自分の頭で理解して、不安や疑問に思う点を挙げて、会話を重ねて理解を深めることが、教育の効果を最大化する上で大事。超大事。
2.成功事例を小さく作り、仲間を増やす
いきなり風呂敷を広げて大規模にやろうとするのは無謀です。
失敗した時のリスクは測りきれないし、コントロールも効かないでしょう。
彼らの成功を導けるよう、ただし導かれた、と言う受け身にならないように、イイ感じに導かないといけないです。超大変。
そもそも組織の変化というのはとても複雑なので、はじめにコレをやる!と決めてうまくいく場合はほとんどないです。
大抵の場合、現場にいる人間それぞれの利害が抵抗や受け入れやすさに変化します。
できることとしては、臨機応変に目の前の課題を潰し、メンバーの変化・組織の変化を加速させてあげることくらい。
複雑なものに対して事前に大きくやることは決めない。
クネビンフレームワークそのものですね。
www.slideshare.net
複雑なものに対して大きく計画駆動するのは、アジャイルで進むべきドメインに WF で突撃するのと同じくらい無謀です。監察大事。超大事。
まずは、小さく成功する。(改善する、だけではない)
改善する、だけだと、そこで ”良かったね” で止まってしまいがちになります。
メンバーが主体となって意識を持って、彼ら自信が「変化して、成功した」の体験を積むことで、コレから先に向けて変化するイキモノになる一歩が踏み出せます。
っていうか、そこで、カイゼンへの踏み出し方まで覚え始めてもらわないと、後が辛いです。
いきなり大きく変わ流のは難しいので、小さく改善する、で、成功した仲間(イキモノ)を増やす。
大きく広げる時にはそういったアプローチが後々重要になります。
#個人的に、過去に関わったメンバーが、全く異なる場面で、全く知らない方へアジャイルコーチングしている場面を見たときは超嬉しかったです。そういう仲間を増やすのは、少しだけ推進する人の心の支えになったりします。少しだけ。
3.トップダウンがあってもいいけど依存はしない
コレはちょっとだけ複雑な話?になります。
トップのコミットがあると、とてもスムーズにことが運びます。
体制図にもない状態から参画したこともありますが、まあまあ大変でした。
ある程度の Authorize はちょっとだけ虎の威を借りて仕事を進みやすくできます。
とはいえ、「●●事業部長がやるといっているので!」と印籠のように使うのは危険が多いです。
だいたい、1. の落とし穴の派生系で、私+アジャイル VS 現場、の構図になりやすく、推進しても効果に現れにくいです。
(なお、●●事業部長は味方じゃなくなったりします。突然に。)
なので、バランス大事にして進めるのが良いです。
Fearless change でも触れられているように、トップのサポートはとても強い武器になります。
Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン
それがあるだけで、(睨まれる心配がない)という、不安も払拭できますので。
(やらないと睨まれるかもしれない、という消極的な積極性につながることもありますけど)
4.手法ではなく、課題から始める
一番大事だけど最後になってしまった。
スクラムとかカンバンとか、SAFe だとか LeSS だとか、全部手法です。
現場の課題が何で、それを解決できるのがどの手法なのか、を探すのが一番大事です。
手法が先じゃなくて、課題が先。
お薬が先じゃなくて、症状が先。
症状を診断して、病名を突き止めて、処方(手法)を提示する。
MR にならないでください。医者になってください。解決策の手法を目的にしないでください。
何度でも言いますが、
課題が先。手法は後。
スクラムが好きなのはいい、アジャイルが好きなのはいいですが、大事なのは、
顧客とプロダクトを見て、自分たちの課題を見つけて最適化し続けること。
#課題を照らし出すための手法として機能するいろいろな方法(スクラムだったり、カンバンのボトルネック探しだったり)がありますけどね。
どこかの誰かがスクラムでうまくいった、としても、それはあくまで「彼らの課題」に対して、その手法が機能した、ということです。
あなたに同じ「課題」があるとは限らないです。
形だけ真似するカーゴカルトは危険の塊です。注意。超注意。
課題が見つかったら、どういう方向性で改善をするのかは、アジャイルに合わせましょう。
Agile manifesto の価値と原理があるので、そこから適当に導いてみましょう。実験しながら。
"Agile" isn't a place or a condition. It's a direction. The Manifesto's Values and Principles push toward a focus on concrete feedback, contact with people, and looking at the real product: pic.twitter.com/p0mHFT7w3G
— Ron Jeffries (@RonJeffries) 2019年6月24日
解決策はいろいろ取れるので、注意しながら進めましょう。
「問題が再発しないように、リリースまでに必要な仕様を網羅してから実装を始める」
とも解決できれば、
「さっさと問題に気づけるように早くレビューする」
とも解決できたりするのと同じです。解決の方向性が大事。
#適当にロジカルシンキングするといかにもそれっぽいソリューションは出せるので、とても注意しましょう。
#なぜなぜ分析なんてしても、見る人が甘ければいくらでも恣意的に曲げられるので。
っていうのを書いてたら、@Ryuzee 大先生がもっといいことを分かりやすく書いてたのでそっちをみましょう。(投げやり)
推進する人の集まりである、アジャイルリーダーシップサミット2019に参加できそうです。楽しみです。