スクラムマスターとしてどう改善をフォローするか?
そんな話題が出たのは、私がスクラムチームを支援するにあたり、改善ポイントを考えながらふりかえりでフォローしている、という話をしたときでした。
で、その場にいた別のスクラムマスターの方から、ある人から、ふりかえりでチームが考えた改善を進めてあげるのが大事で、事前に考えるのは違うのでは?とツッコミを受けた。
これ、スクラムマスターとして物凄いさじ加減が難しいとこだと思っている。
チームには自己組織化して問題を見つけ、改善できるようになって欲しい。
スクラムマスターとしては、スクラムマスターがいなくても(ある意味チームが勝手に)改善し続けてくれる状態に持っていくことが一旦の目標だと思う。
そのため、スクラムマスターは、チームに「どうしたいですか?」と考えることを促すことが大事。
一方で、それならスクラムマスター簡単やん!ってことで、チームが改善できる状態に持っていけないまま放置し続けるスクラムマスターも見かける。
そうですよね,話を聞くふりをして,時たま頷いてみせて,"分かりました。それであなたは今,何をすべきだと思いますか?" とでも尋ねることができれば,それだけで結構な収入になるのですから。
(認定ホニャララ資格が信用出来なくなってきたのと同じかもしれない。)
日々の仕事を思い返すと、スクラムマスターとして参画する場で、チームがスクラムについて成熟しているケースは、残念ながらあまりお目にかかれていない。
大体は2週間の目標を立ててふりかえりと朝会(≠ Daily Scrum)をやってる程度。
ストーリーはバッチリ個人にアサインするし朝会はリーダー(?)への進捗報告の場だ。
当然メンバーがスクラムに精通しているなら外部から呼ぶ必要も無いのでバイアスありありなのだが仕方ないが、そうしたケースで、「ふりかえりはチームに任せる」というのは、スクラムマスターとしてはただの責任放棄に過ぎないと思う。
なので、その状態のチームで、「自己組織化ですから(^-^)」とか言いながら放置するのはどうかと思う。
じゃあ改善点を指示してチームにやらせるのかというと、それもまた放置の次くらいにダメなやり方になる。
瞬間的には改善するがチームとしては「問題に気付く」「原因を考える」「解決策を導き出す」「やると決める」と言った一番大事な、「改善のやり方を学ぶ」機会を奪ってしまいよろしくない。
("ふりかえり" っていう、分かりやすいけど誤解を生みやすい言葉もどうかと思うんだけどね)
スクラムマスターはリーダーシップじゃない(サーバントリーダーシップ)ので、コーチングスキルをフル動員して、チームに気付かせる、考えさせる、encourage する、をしないといけないが、ふりかえりのファシリテーション?フォロー?は、メンバーのメンタルも気にしながらスイートスポットな働きかけが必要になるのでとてもセンシティブだと思う。難しい。
( ´-`)。oO(4歳児に歯磨きを教えるよりは、ラクかも)
スクラムマスターのアプローチにテンプレートが無いのは、育児にテンプレートが無いのと一緒だな、と最近よく思う。アンチパターンくらいしか決められない。
環境も直面する問題も違うのに同じアプローチなんてあるわきゃ無いのだ。
あ、一緒に気付いて考えて勇気付けてチャレンジさせて成長していった瞬間の達成感も育児と同じかな。これは個人の主観がとても入ってるけど。
日々無力感とか詐欺師症候群と闘わないといけないのも似てるな。楽しいからいいのだが。
そういえば、この辺の大事なことは書籍『アジャイルコーチング』によく載ってるから、とても参考になるので困ったら参考になるかもしれないし、ならないかもしれない。
2019/6/1 追記
Teaching と Coaching の違いなのかなと今更ながら思った。
キッズスクールのサッカーコーチと、W杯のサッカーコーチは話す内容が違うじゃん?っていうコラムを見て、まずは走る蹴るを一緒になってやらないといけないから、チームが一人でサッカーを出来るようになるまでは手放しで放置せずに手助けする方がいいという感じだろうか。
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