海と山が好き

海と山が好きだけど埼玉に住むおっさんが遭遇したアジャイルとかのはなし

大企業でのアジャイルがアレな理由

# 大企業でのアジャイルがアレな理由

 

大企業でのアジャイルがアレな理由

コスト意識が無い。
ヒットさせるために最速でゴミだと気付きたい、という意識はない。
サンクコストを追い求める。
むしろ新しい手法にチャレンジしててえらい!って手法の採用自体が目的化する。
とくに Lean discovery なサービス創造とか。
誰に踊らされているのか分からないが、突然新しい手法に目覚め、やったこと自体を評価してもらい、成果物はアピールするが、結果は見ていない。
本来は結果を出す(=サービスとして売り上げて生きていく)ためにLean なプロダクト探し、アジャイルなプロダクト実現があるのに、その逆。
それを生み出しているのは、圧倒的なコスト意識の低さ。
与えられている投資に対して、いつまでにどの程度のアウトプットを出さないといけないか、という意識が低い。コケても死なないし理由を作るのが得意な賢い人も多い。
と同時に、大企業ならではの管理費用の高さがあり、社員数名を投下したコストを回収する売り上げ発生なんてとてもじゃないが無理。
(代わりに、福利厚生とか、社内サービスは充実しているんだけどね。)

なので、大企業でアジャイルじゃないと生きていけない、みたいなとこは少なくて、作りすぎの無駄とかと一緒にスプリントを重ねるは肥大化プロダクト開発が多いような気はする。

まあ物量でフォロワー戦略取るのが賢いよね、体力あるし、と言われれば、それはそう。。

アジャイル導入がきらいだ

なんかよく見かける文言、アジャイル導入」

この言葉が好きじゃない、と言うか嫌いだ

「導入」ってことは外からインストールするといった意図であろう

つまり対象は未インストールだ

相手はアジャイルじゃないからアジャイルにしてやろう

という意図に気づいているかいないかはともかくその構造が背景に認識されている

あれ、アジャイルって形容詞で程度問題じゃないんだっけ?

相手のアジャイル度合いがゼロだって判断が伴ってないですか?

って気分になる

で、大体こういう方々が現場に行くと、できてないことリストとやるべきことリスト (施策、とか、打ち手、みたいなどうでもいい単語に置き換えられがち)

一方で、今の現場、現状のありざまが、どれくらいアジャイル度合いがあるか、といったことはまず話されない

目に入ってないか、せいぜい、どストレートなダメ出しが憚られるのでお通しレベルの現状褒めが出てくる程度


これって問題か?別に問題じゃなくない?だって現場は改善されるよ?みたいな

その現場が教科書から外れてる理由ってはその現場とチームが抱える制約やコンテキストやナラティブの帰結なので、そこを見ないで教科書だけ見ても効果がないんよ

患者を見ないで医学書だけ見てる医者みたいなもんで、できるのはせいぜい外科手術の対処療法だけ

なんなら元のコンテキストの制約が悪さする方向になってしまって悪化することもたまにある

なので、教科書とかガイドとか他チームの取り組みとか眺めてないで、まずチームを観察しましょう

初めて入るチームなら、まずそのチームがやれている良い所を10個見つけましょう

それを見つけた上でなお、相手が「アジャイルになっていない」ので、啓蒙(無知に教えるの意)、導入、という言葉を使いたいと思うかよく考えるべき


まあ現場から遠いマネージャに話すには使いやすいんだろうし、商業主義的にコンサル屋さんが商材を売りに来るいつものパターンでDXとかと変わらんレベルで扱われてるんやろな、とは冷静になって察するけど。

Scrum Master は衝突に対して第3の案を出すのが仕事、という話について

何の話?

スクラムマスターはチーム内で意見の衝突が発生したときにどう対処するとよいか、という話

 

タイトルは何?

アドバンストスクラムマスター研修(だったかな?)で聞いた話。

スクラムマスターはAかBかという意見の食い違いに対し、C案を出すのが仕事だ」

って言われて、なんのこっちゃ。と当時未消化だった内容。

 

この記事はどういう話?

現象学をヒントに、第3の意見を出すとはどういうことなのかを再理解したという話。

 

続きを読む

ふりかえり(レトロスペクティブ)でプロセスを改善する

アジャイル開発でふりかえりをやってプロセスを改善するのが難しいというお話。

 

ふりかえりってなんだっけ

XP でいえば「リフレクション」(内省)

スクラムでいえば「レトロスペクティブ」

日本国内では「ふりかえり」

 ※ 漢字の振り返りではなくひらがなの「ふりかえり」がよく使われている。意図して使い分けられている(PF 時代のころから?)

 

目的はどれも、次よりよく仕事をするために何を変えるかを考えて実行すること

※ 逆に言えば、型どおり仕事をする主義へのアンチテーゼにも見える

 

ふりかえりではプロセスを改善する

というだけではないのですが(例えば関係性や、立ち位置の認知共有でも「よりよく仕事をする」が達成できるならそれもアリだと思う。

とはいえ、どう仕事を進めるかという点では、プロセスや環境の改善が必要になることがままある。

 

ふりかえりでプロセスを改善するのが難しくなりがちだ

よく見かけるシチュエーションが、

  • 課題:XX に課題があり、完成しなかった。
  • 分析:XX で使っている A ライブラリを B ライブラリに変更する
  • アクション:B ライブラリの導入

みたいなもの。

 

何がイマイチなのか

発生した課題(XX が完成しなかった)は認知されているように見える

分析もされて、問題(A ライブラリがクソ)の特定もされているように見える

アクション(Bライブラリに乗り換え)も明確になっているように見える

一方で、明らかになったのは今回の問題とその対処であって、

この「問題が課題と生み出してしまった構図」については触れられていないので、次も同じような「構図」が同様の問題を引き出してしまう。

(もちろん、A ライブラリに起因する同様の問題は発生しなくなるが)

よって解決する影響先が低いことにより再現性が低い(≒ふりかえりのアクションの ROI が低い)状態になってしまうため、この状態はイマイチととらえられそう。

 

どういうアクションだとよさそうか

たとえば、A ライブラリに課題があることが「完成しなかった」に紐づいてしまった理由は何かを深掘りするとよいことが起こりやすい(気がする)

なぜ課題=終わらないとなったのか?他の開発アイテムは課題があっても遅れないのでは?ではなぜ今回のケース(PBI?)ではそれを発症したのか?
(それがAライブラリであろうということは想像できる)

では A ライブラリでなくても発生するとしたらどんなときか?A ライブラリを使っているということは何が特有だったのか?そしてそれが遅延につながった理由はなんだろうか?

完成しなかったということは、課題の解消が時間がかかったということなのか、課題の検知が遅れたということなのか?課題が発生しないようにする(ライブラリを差し替える)方針とは別に考えないといけないことを見落としていないか?とかを考えるとよさそうではある。(たとえば、課題を相談しにくい雰囲気になっていないか?とか)

 

なぜそうした観点を持つことが難しいのか

かならずしもそれが理由というわけではないが、過程に踏み込んでしまうということは、自分たちの内面の課題と向き合うことになってしまうことも一因な気はしている。

「ユーザーが理解していなくて」「ライブラリがいまいちで」といった、自分たちのプロセスの外へ問題を移動すると、自分たちは傷つかなくて済むので、間違いなく安心。

確かに、過程を深掘りすると反省会チックになり、Happy なスクラムチームが壊れてしまうのではという懸念がある。

(一方で、それが心理的安全性が高くない状態であろうことは想像はつく)

 

プロセスにフォーカスできてないと気づく方法はあるか?

とくにこれといったモノはない気がするけど、PBI になるようなアクションであれば、たぶんプロセスにフォーカスしていないことが多い。

PBI のインクリメントが導入されるのはあくまでプロダクトで合ってチームではないので。

 

どうすればイマイチでなくなるか

今のことろこれだ、って体系的にまとめてない

  • どうイマイチになっていると気づけるか
  • どうすればよりプロセスにフォーカスできるか
  • どうすれば内面にフォーカスすることにチームで勇気を持てるか

とかいろいろ考えることはありそう。

 

スクラムマスターとしてどう振る舞うとよいだろうか

  • アクションの ROI はともかくふりかえりをやる
  • プロセスの話にしましょう、とファシリテーションする
  • チームがプロセスの話ができるように働きかける
  • チームがプロセスの話に踏み込めない要因を観察し、環境を整える

とか?いろいろありそう。

スプリントのタスクを受け入れ条件単位で書く

TL;DR

  • スプリントバックログアイテム(よくスプリントのタスクとか言われるもの)を、受け入れ条件の粒度で書くとよいことがチラホラあったという話

背景

  • スプリントのタスクを考えるときに、安易に設計・開発・テスト、とかしがち
  • 一方で、この切り方で行くと、今作ってるものが方向性あってるっけ?とか、いらないもんまで作ってない?みたいな検査をしたくても、取り返しがつかない
  • 結果、PBI が完成してから、過不足に気づいたりして、ムダに悩まされる

何をやるか

  • スプリントプランニングのトピック3の際に、スプリントバックログアイテムを、各プロダクトバックログの受け入れ条件(Acceptance Criteria)ごとに作成する
  • デイリースクラムでは、スプリントバックログアイテムの進捗を動いている状態で検査する(ミニデモ)

効果

  • 計画時に、「なぜやるのか」「何をやるのか・やらなくていいのか」「何がコアバリューなのか」を理解してから作り始めることができる
  • 一番コアな部分から作るので、設計がしっかりしやすい(ダメなときはダメ)
  • 朝会でインクリメントを見ることができるし、そのうえで、追加の実装の要否やこれでもう十分かも、といった議論ができるようになった
  • 詳細な実装タスクにしていないので、モブが加速して WIP が下がる。結果として実装中の会話が増え創発性が向上して想定より良いものができる
    • PR で今更言われても、、、になったりしない
    • WIP PR だと会話量が少なくて創発的というほどでもない

デメリット

  • 何をやれば実現できるか、の検討をリードできる人が欠席しているとリスクが高い
    • いままでは計画の日だけ気にしていたとの声
      • いろいろ複雑な背景がありそうなのでふりかえりを加速するしかねえなと
        • ふりかえりも毎日やればいいか